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朗読家/映像にはない自分だけの想像の世界を 語りで物語の中へ誘う

もちだひろこさん

もちだ ひろこさん
日本朗読検定協会(鹿児島市)

メロスは激怒した―。

静かな語り出しに、満席の聴衆がぐっと引き込まれた。語りとたっぷりの間、薩摩琵琶の音が、会場を異国に誘う。

朗読会

朗読会では必ず楽器を取り入れる

2月、鹿児島市で開かれた大人のための朗読会。素朴な青年、猜疑心に満ちた暴君、友を信じ待つ男、群衆のざわめき…。語りに導かれ、聴衆は青年メロスの物語の一部になった。

 

59歳で夢かなえ 好きを仕事に

学生時代は放送部として活躍。NHKのコンクールでアナウンス部門の県代表として出場し、「読む事には自信があった」。

社会人になってからは、初任給を文学全集の購入に注ぎ込むほどの「本好き」。その二つの才能は“朗読家”として59歳で花開く。

主婦業の傍ら、本を読んで録音したものを視覚障害者に届ける、音声訳のボランティアを始めたのは25年前。養成講座に通う中で朗読に出合った。

「聞き手が目の前にいて、反応が見える楽しさは音声訳にはない。朗読には色を付けて話すわくわく感がある」。好きな事で、世の中に貢献できる喜びに満たされた。

夢は膨らみ、「教室を持って、この楽しさを多くの人に伝えたい」と日本朗読検定協会の門をたたいた。現在は協会の理事を務め、協会公認の教室「すまいるカフェ」で40人を指導する。

個性を生かす もちだ流の指導

生徒が朗読会で披露する本選びには気を遣う。「好きな本を読むのが一番だが、朗読を習う人が本好きとは限らない」。聞き手の想像力をかき立て、読み手の声や話し方が生きる作品選びを手伝う。

「人の集中力は10分で、長い話は眠くなるだけ。登場人物が多い作品も混乱させてしまう」。経験を積んでも、感想を読む時には緊張する。

標準語のアクセントや、発表を無理強いしないのがもちだ流。「個性を大切に。愛情を込めて読めば伝わるもの」。その背景には、転勤が多く、あがり症だった子ども時代がある。「人前で話す成功体験を積むことで、克服することができた。書かれているものを読むだけ。少しずつ発表の場に慣れてほしい」

映像に慣れ過ぎた現代。「時には声に耳を傾け、想像する事を楽しんでみては」。現実を離れ、物語の世界に浸る時間は何とも心地良い。

 

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もちだ ひろこさん
プロフィール

姶良市出身。加治木高校、鹿児島女子短期大学卒業。77年に結婚し、塾講師を15年経験。95年音声訳ボランティア(熊本県)に参加、2013年日本朗読検定協会に登録し、九州初のプロフェッサー資格取得。19年から協会理事を務める。朗読教室「すまいるカフェ」で指導。電話=090-7453-1700

今これに夢中です
ボウリング

週に1回通い、2年になる。ボウリングは自分との戦い。時間があればもっと行きたい。

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