
知覧武家屋敷庭園
知覧武家屋敷庭園
イヌマキの生垣と石垣が続く知覧武家屋敷庭園一帯を散策すれば、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような雰囲気に浸れます(=写真上)。
一般公開されている7つの庭園は、それぞれ特徴があります。ぜひ自分好みの庭を探してみてください。
ラ・ショミエル
武家屋敷群の一角にあるレストランとカフェ「ラ・ショミエル」は、手軽なスイーツから本格的なアラカルト料理まで味わえます。素敵なシェフと、猫たちが出迎えてくれます。事前予約で和服の着付けサービスも。クリーニング代相当でレンタルもしてくれます。道が細いので、運転には十分気を配って。
たまごの菊ちゃん
「たまごの菊ちゃん」は、卵好きにはたまらない店。スイーツはもちろん、見た目にも大きく美しい「プレミアムエッグ」(6個300円)などの新鮮卵はお土産にぴったり。だしのきいた卵かけごはん用の「菊ちゃんちの醤油」もおすすめ。
クリーンベースみな館・工房の菜種油
それでは、“おでかけスケッチ帳”の世界をお楽しみください。
名勝の美と歴史を体感

イラスト:張 佐和子
緑鮮やかなイヌマキの生垣と石垣が、約700mの通り沿いに連なる。両側に立ち並ぶ屋敷のうち、七つの庭園が国の「名勝」に指定され、一般公開されている。
通りから武家門をくぐると、古いもので江戸時代から残るという、風情ある庭園と屋敷が広がっている。

「この武家屋敷群は、知覧城の麓として、1700年代に作られたといわれています」と知覧武家屋敷庭園事業組合の森重忠代表。江戸時代、薩摩藩は領地を外城と呼ばれる地区に分け、領主の屋敷である御仮屋を中心に麓と呼ばれる武家集落を作り、統治にあたらせた。知覧もその外城の一つ。知覧の港は江戸時代に琉球貿易の拠点だったことから、琉球の影響が色濃いのが特徴という。入口にびょうぶ岩(沖縄のヒンプン)と呼ばれる切り石の塀が立ちはだかっていたり、通りが所々折れ曲がっていたりと、外敵の侵入を阻む仕組みも随所に残り、武家集落の歴史を体感できる。

奇岩や築山、植え込みを配した庭園は、七つそれぞれの持ち味が。北東に望む母ケ岳を借景に、美しく刈り込んだイヌマキで連山を表現するなどの工夫と美を味わいたい。通り沿いには、古民家を生かした食事処やカフェ、雑貨店も。じっくりと歴史散策を楽しんで。
知覧武家屋敷庭園事務所
- 南九州市知覧町郡13731-1[MAP]
- TEL:0993-58-7878
- 【営】9:00~17:00
- 【料】高校生以上:500円、小中学生:300円
- 【休】なし
- 【P】周辺にあり
寄り道グルメ
レストランとカフェ La chaumière

武家屋敷群内の一角、小さな古民家に今年5月、オープンした。ラ・ショミエルは、「田舎の小さなレストラン」の意味。若きシェフ、濵田将さんが、フレンチの経験を生かし、腕を振るう。
ランチは1,500円のハーフコースと、2,500円のフルコース。メニューは入荷する素材次第で変え、「できることは手をかけたい」ときちんとだしをひいて料理やソースを仕上げ、デザートまで手間ひまかけている。
午後2時以降のカフェタイムは、デザートセット(680円)やフレンチトースト(アイス付き580円)などのスイーツ、アラカルト料理を味わえる。

ハーフコースは、サラダ、スープ、魚か肉料理にデザート、紅茶が付く。見た目にも美しい料理は、フェイスブック等で紹介
予約でディナーにも応じており、「上は80、90代まで、地元の人に親しんでもらえて、うれしい」と濵田さん。形式ばらずに味わってもらえるよう箸(はし)も用意している。
事前予約で、濵田さんの母、正枝さんが浴衣や着物の着付けサービスを行っている。和服姿でお食事と武家屋敷散策はいかが。
レストランとカフェ La chaumière
ラ・ショミエル
- 南九州市知覧町郡6293-1[MAP]
- TEL:0993-83-2626
- 【営】11:00~L.O.18:30
- 【休】毎週水曜
- 【P】あり(台数に限りあり)
ちょこっと寄り道【gourmet】
たまごの菊ちゃん

地元の養鶏場の直営店で、新鮮な卵をはじめ、卵をふんだんに使ったスイーツ、惣菜がずらり。サクサクパイに濃厚な卵クリームを載せたエッグタルトやシフォンケーキ、プリンは卵の風味を最大限に引き出した優しい味。エサにこだわり、生臭みを抑えた卵は、卵かけごはんにもぴったり。特注「菊ちゃんちの醤油(しょうゆ)」でぜひ。
たまごの菊ちゃん
- 南九州市知覧町郡4978-1[MAP]
- TEL:0993-83-2122
- 【営】10:00~18:00
- 【休】火曜
- 【P】あり
ちょこっと寄り道【spot】
クリーンベースみな館・工房

菜種、ゴマ、ツバキ3種類の食用油の製造直売所。「安心・安全で良質の油を」と最新鋭の機械を導入し、添加物を使わずに、自社農園はじめ地元産の原料から搾油している。工房はほんのり香ばしい香りが漂い、時間によっては洗い、いり、搾り、瓶詰めの工程をガラス越しに見学できる。90gのオシャレな角瓶入りは1,000円。
クリーンベースみな館・工房
- 南九州市知覧町郡3881[MAP]
- TEL:0993-58-7771
- 【営】9:00~16:00
- 【休】土・日曜、祝日
- 【P】あり
- memo
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玄関が二つ、かわや(今でいうトイレ)がわざわざ正門脇に―。武家屋敷庭園事業組合代表で、公開中の1軒に住む森重忠さんが、そんな武家屋敷の不思議を解説してくれた。私が今まで「馬の水飲み場」と信じていたものは「血洗い」、つまりやりなど武器の洗い場だったことが分かり衝撃。同組合はボランティアガイドの受け付けもしている。11月14日は、一帯を灯ろうで彩る催し「ちらん灯彩路」も。(里)