色を通じた企業研究のヒント
「コーポレートカラー」とは、企業の個性や目標を表現し、社内外にそれを印象付けるために使われている色のことです。ロゴマーク、広告、パッケージなどに繰り返し使われ、見る者に特定のメッセージを伝達します。
日本の企業の傾向として、エネルギー、情熱的、活動的といった印象を与える赤系が最も多く、次いでクール、先進的、知的なイメージを与える青系が続きます。
青は、世界中で好まれている色であることから、世界を視野に入れている企業が注目する色でもあります。この二つの色で、コーポレートカラーの8割近くを占めます。
人間味のある印象を抱かせる暖色系は、食品や家庭用品メーカーが多く、寒色系は冷静沈着でスピーディーなイメージと結びつくため、機械・電気部品メーカー、銀行、IT企業などが多いようです。
緑は環境への配慮や人への優しさをイメージさせることから、生活用品や化粧品など化学メーカーで採用する例も増えています。
コーポレートカラーは、企業トップの理念や社員の意向、競合他社との差別化、色彩管理のしやすさなどでも決定されます。企業がコーポレートカラーを変更するときは、強い決意表明が込められていることもあります。
(鹿児島大学キャリア形成支援センター特任助教・牧野暁世)
※南日本新聞2020年10月20日付掲載